レポート&インプレッション

イベント報告、好きな役者さんやドラマの個人的感想を語るブログです

2017年03月

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日本でも人気の高いミュージカル『ミス・サイゴン』。2014年にイギリス・ロンドンで行われた25周年記念公演が、日本公演25周年に併せて映画公開されました。
私は初演の頃からこの作品を見ているので、どうしても1度は映画館の大スクリーンで見てみたかったのですが…如何せん、主要大都市しか上映予定がなくガックリ。観に行くのは断念だなと諦めていたところ、大阪へ行く用事が映画公開時期と運良く重なり観に行くことができました!!私が見に行った数日後に梅田での上演は終わってしまったようなので本当にギリギリ…ラッキーでした。

ちなみに映画料金は他とは別に設定されていて一律2500円。舞台と同じく1幕と2幕の間に休憩が挟まっているのも特徴的。さらには2幕が終わった後の特別カーテンコール(スペシャルフィナーレ)前にも10分の休憩があって…映画を見に行っているのに舞台を一本見たような気持になりましたw。
映画の料金として見ると少しお高めの設定ではありますが、臨場感あるし本場の舞台映像と音を体感できるという意味ではこの金額はかなりお得。客席数が少なめだったためか私が見た回(1日1回きり上映)は満席…。当日券が売り切れていたので、予約して行って本当に正解でした


さて、映画についてですが・・・まず驚かされたのが映像の臨場感です。基本的にはロンドンで行われた25周年記念公演の模様がベースになっていますが、所々は後日別にキャストだけ集めて映画用に撮影した映像を挟んでいるそうです。なので、客席からは見えないような角度の風景やキャストの表情が間近にものすごくリアルに感じられて…舞台の最前列で観る以上の迫力がありました
舞台映像には変わりないんだけど、時々そこが舞台の上ではないような感覚になることもしばしば。実写映画としてのドラマを見ているかのような錯覚になるあのリアルさは本当にすごかったです。舞台映像であそこまで臨場感を感じたのはこれが初めてだったかも。

それから、キャストが『ミス・サイゴン』の世界観にすごくマッチしているというのも印象的でした。
この物語はベトナム戦争の悲劇を描いているので、登場人物の多くはベトナム人…つまりアジア系。なので、顔かたちがアジア系の役者さんが多く配役されているのが特徴的です。ベトナム人役の役者さんはアジア系の顔立ちでアメリカ人役の役者さんは欧米系の顔立ち。アメリカ人役は白人と黒人が入り混じっている配役になっているので余計リアルな当時の様子を感じることができました。
日本版は当然のことながらみんなアジア系役者なので、ベトナムとアメリカの本物感といった点では表現しづらい部分はあります(エレン役の役者は時々金髪のかつらをつけていたりしましたが)

もう一つ感じたのが、日本の『ミス・サイゴン』も引けを取らないなってことでした。
来日公演などを見て「日本はまだ追いつけないことも多いんだな」と感じることって時々あったりするんですが、今回は「日本版も負けてないな」って思えたんです。それはキャストにもよるところはあるのですが、個人的に最高だったなと思えるキャストが出ていた日本公演とロンドン公演の映像とを思い比べてみた時、大きな差みたいなものを感じなかったんですよね。それがなんかちょっと嬉しかったです

そうそう、字幕について。字幕表記が亡くなられた「岩谷時子」さんになっていたのが胸熱…。『ミス・サイゴン』日本公演の初演舞台の訳詩を手掛けたのは岩谷時子さんでした。
再演を繰り返すうちに、岩谷さんの訳詩がだいぶ変更されてしまい…最新版では「いくら分かりやすくとはいえその訳詩はどうよ」って思ってしまうような過激なフレーズも増えて残念に思うこともありましたなので、今回久しぶりに初演に近い形の岩谷さんが訳詩されたものが字幕で出てきたときはすごくホッとしましたね。次に再演する時は、また初演に近い訳詩に戻してほしいです…。十分伝わるんで。


ちょっと残念に思ったところは…実際の舞台公演映像がベースになっていたためにお客さんの派手な拍手が入ることだったかな
日本でもビッグナンバーのあとなどには拍手が入ることがほとんどなのですが、海外のお客さんの拍手は日本のそれとはだいぶ雰囲気が違うんです。どんなシリアスなシーンでも、素晴らしい歌声でドラマを盛り上げるナンバーがあった後はまるでコンサート会場か!?ってほどの歓声と拍手が鳴り響く。素晴らしいと思った芸術には惜しみない賞賛を贈るっていうスタンスは分かるのですが、その表現方法が日本人とは少し違う気がするんですよね。日本人は素晴らしい歌の後に拍手を送るけど、ほとんどの人は作品のストーリーに浸っているのでその後の展開を邪魔しないような拍手をしているように思います。私はそうしているかな。
だけど、海外の人はその場その場で素晴らしいものに最大限の賛辞を贈るという意味で大歓声が毎回湧き起こる。ストーリーよりも、演じ手に対する称賛が熱い。これはたぶんお国柄かな~。たぶん海外の人が日本の公演を見ると「客の反応が薄い」って思ってしまうのかもしれない。
今回の映画はそんな感じで…どんなにシリアスな流れでもナンバーが終わるごとにコンサート並みの大歓声が入ってくるので、ちょっとそこで流れが止まっちゃう感覚は正直ありました。素晴らしいキャストによる最高のパフォーマンスの世界にどっぷり浸りたいと思う派の私的にはそこの違和感だけが残念な点でしたね。


以下、内容について少し。



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今回は今までとは少し違った記事になります。

俳優の渡瀬恒彦さんが14日お亡くなりになったというニュースが今朝流れました。
2年くらい前に胆のうがんが見つかり闘病されていたということは知っていましたが、その間にもドラマに出演されていたし、死というイメージがあまり湧かない方だったので何とか克服してまた復帰されるのだろうと思ってきました。それだけに、このニュースに触れたときは本当に大きなショックを受けました。

渡瀬恒彦さんといえば、『十津川警部シリーズ』、『タクシードライバーシリーズ』『ザ・公証人シリーズ』などといった 2時間ドラマで活躍していた印象も強いのですが、個人的に一番思い入れが深かったのは2007年~2008年にかけて放送されたNHK朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』徒然亭草若師匠役でした。
最初から最後まで無駄のない素晴らしい朝ドラで今でも個人的№1朝ドラである『ちりとてちん』。本当にこのドラマが大好きで、当時はブログ(現在は更新停止中ですが)に5週目あたりから毎日レポ記事を書いていました。

↑ ちりとてちんのイベントについてなどもレポしてあるので興味がありましたらどうぞ。

ちりとてのなかに登場する草若師匠は、かつては落語四天王と呼ばれるほどの人気落語家だったのですが、大きな落語会の前に愛する妻が死の病にかかったことを知ってしまい、動揺のあまり会をすっぽかしてしまった出来事からすっかり落ちぶれてしまった人物でした。
それから数年後、主人公の喜代美と出会い、離れていた弟子たちが戻り、周囲の人たちの温かいまなざしもあるなかで再び落語の世界へ戻っていく草若師匠。しかし、落語界に復帰して数年後に死の病におかされ、悲しむ弟子たちにありったけの愛を注ぎつつ、彼らの大舞台当日にこの世を去ってしまいます。 

渡瀬さんの訃報を聞いたとき、あの、愛する弟子たちの落語を感じながら命の火を消してしまった草若師匠の姿が鮮明によみがえってきて涙が止まりませんでした…。
今でも私の心の中に、あの、渡瀬さんの草若師匠は着実に生きていたんだなと…改めて実感しました。

渡瀬さんが演じた草若師匠がいたからこそ、いつまでも心の中に残る名作となった『ちりとてちん』。大好きな大好きな作品ですが、今はちょっと、見れません…哀しすぎて。



ちりとてちんのあと、ドラマ『おみやさん』で喜代美役だった貫地谷しほりちゃんと渡瀬さんが共演した時は嬉しかったな…。昨年の『おみやさん』スペシャルでは四草役だった加藤虎ノ介くんも加わり、本当に嬉しい共演が実現したばかりだった…。
何が何でもやりたいと熱望していたという、ドラマ『9係』シリーズ。4月から新シリーズが放送される予定になっていましたが、ついに渡瀬さんは撮影に参加できなかったそうです…。渡瀬さんの復帰を心待ちにしていたスタッフやキャストのことを想うと、本当に言葉がありません。さぞ無念だったと思います…。
 

渡瀬恒彦さん、今まで素敵なお芝居で私たちを楽しませてくださり 本当にありがとうございました。どうか、安らかに…。

最後に、草若師匠の十八番だった愛宕山の一節を…。

「 野辺へ出て参りますと、春先のことで
 空にはひばりがピーチクパーチクさえずっていようか
 下にはレンゲ、タンポポの花盛り、陽炎がこう燃え立ちまして
 遠山にはパーっとかすみの帯をひいたよう、
 麦が青々とのびて菜種の花がいろどっていようかという本陽気、
 やかましゅうゆうてやってまいります、
その道中の陽気なこと!」

謹んでご冥福をお祈りいたします。

合掌


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ミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』を見に行ってきました。ミュージカル好きとしては一度見ておきたかったんですよね。アカデミー賞では6部門を獲得、作品賞の時に間違えて呼ばれてしまったことでも話題となりました(作品賞は『ムーンライト』)。あの瞬間は生放送で見ていたのですが、最初は何が起こっているのか分からずポカーン状態でしたw。あれは前代未聞の出来事でしたねぇ…。ある意味貴重だったかも。

タイトルの『ラ・ラ・ランド』とは、ロサンゼルス(主にハリウッド)の愛称なのだそう。「La」はロサンゼルスを指しているってことになるんですかね。そしてもう一つが「陶酔してハイになった状態」ということで、”夢”の国を表現する 意味も持つと。この二つの意味を重ね合わせたのがこの映画のタイトルになっているわけですね。
主人公のミアは女優を夢見てワーナーの撮影所内にあるカフェでアルバイトをしているという設定なので、ちょっとしたバックグラウンド的な映像もあったりして楽しめました。おしゃれなカフェの外を中世の格好をした役者がフラフラ歩いてたりする光景とか面白かった。 

歌パートの部分は思っていたよりかはちょっと少な目だったように思います。そこそこナンバーはそろっているんだけど、見た感想としてはミュージカルを見たっていうよりかはストプレを見たって感じだったかな。
でも、歌とダンスはどのシーンも圧巻。冒頭のシーンは何も知らないで見たら「いったい何が起こっているんだ?」と混乱する人もあるかもしれないけど、それも見ているうちに惹きこまれていって映画の世界に吸い込まれていくような感覚になるんじゃないかなと思います。あの演出、すごいですよねぇ。渋滞という一見するとマイナスな場面を、ああも見事にエンターテイメント化させてましたから・・・あの発想はすごいなと思いました。躍動感のある音楽・ダンス・歌が最高でした

以下少しネタバレに触れてます。

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