ちょっと書かない間に、北条家が滅亡まで追い詰められてしまいました。
小田原城に氏政の説得に赴いた源次郎でしたが、2年前の大河ドラマ『軍師官兵衛』では官兵衛が一人乗りこんでいくシーンが印象的に描かれていたのでちょっと違和感はありました。そもそも、今回の大河には官兵衛兄さんが出てこない。我が家はある黒歴史大河(ご●)以外はけっこう熱心に毎年見ているので、秀吉が出てくる戦国ものに、重用されていた官兵衛の姿がないのは正直、違和感…というか寂しさがあるんですよね。
この点においては三谷さんや歴史考査の先生が弁明していらっしゃるので(源次郎は別ルートから説得に行ったとか、三谷さんは人物を深く書きすぎるので登場させられなかったとか)あまり深く考えないようにはしようと思ってるんですけど大河の主人公にもなった官兵衛や利家が少しも顔出さないことには…なんとも複雑な心境でもあります。
そんな小田原城に乗り込んだ源次郎に奇跡の再会が!茂誠さま!!源次郎くんの反応が今一つではありましたが、まさか北条にお世話になっていたとはねぇ。妻である松さんが死んでしまったと思い込みながらも懸命に生きてきたであろうことを想像するとなんだか切ない。めっちゃいい人だもん、茂誠さま。そんな彼に松生存を伝えようとする源次郎ですが、氏政対面のタイミングが重なって言いそびれてしまう。
「気になるなぁ!!・・・・気になるなぁ・・・??」
わかる、わかるよ、茂誠さん、それ、蛇の生殺しみたいな状況だよね。
で、氏政対面後にようやく松が生きていることを知らされて安堵。よかったよかった。でも
源次郎は記憶喪失だったということは言い出せなかったので、またしても
「すごく気になるなぁ~~~」
とモヤモヤ感が募ってしまう茂誠さまなのでした(笑)。高木さんのあのセリフの言い方、さすが声優さんですよね。めっちゃ面白かった。どうか茂誠さまが無事に北条から脱出できますように…。
源次郎は氏政と対面、一度は殺されそうになったものの「徳川からの使者だ」と必死の弁明が功を奏し話を聞いてもらえることに。氏政は顎クイしながらw「北条がどれだけ真田に振り回されてきたか」と言ってましたが、まぁ、お互い様っちゃ~お互い様だけどね…と思ってしまった。たしかに昌幸パパのほうが振り回してたかもしれないけど、あの時代はどちらも必死だったろうから。
好敵手の徳川からの文を読んでも降伏しない決意は変わらない。でも、源次郎から聞かされる北条不利の知らせに愕然とする氏政。沼田と聞いた時の「因縁の城…」と呟いた氏政がとても切なかった。あの城巡ってほんと色んなことあったからね。それが巡って北条に破滅の危機をもたらしてしまうことになろうとはなんという皮肉。
「返す返すも心残りは…どうせ秀吉と一戦交えるなら伊達や徳川と組んで日の本を分ける大戦をやってみたかったわ。華々しく…、戦国の世に幕を引きたかった…」
秀吉に対する徹底した蔑み意識が高かった氏政。かたくなに上洛を拒んでいる間に伊達や徳川が豊臣についてしまった。氏政のこの願いはもうかなわない。「今こそ命を惜しまれるとき」という源次郎の力説も、もはや氏政の心には届きませんでした。ただただ虚しかっただろうね…。
だけど、昌幸からすると氏政は羨ましいと思える対象らしい。
「あやつは己のための戦をしておる」
この言葉が非常に印象的。悲劇的な破滅道をひた走ってる氏政ですが、昌幸は彼が誰かのための戦ではなく自身のための戦をしていることが羨ましかった。そう思ってくれる人がいただけでもちょっとは氏政の救いになるんじゃないかなと思った。
そしてついに氏政は降伏。息子の氏直は出家することになり頭を丸め、氏政は髷を落としました。降伏するということで北条家の人々の命は保証するとしていた秀吉ですが、どうにも氏政への苛立ちだけは押えきれなかったようで氏政のみ切腹を申し付けることに。家康や吉継、源次郎たちの必死の説得も秀吉には届かない。秀吉に逆らい続ければ自分たちがどうなるか見えているからそれ以上誰も反論できないのが哀しい。
たしか『軍師官兵衛』のときも官兵衛兄さんが決死の説得に当たっていたけど聞き届けられなかったよね…。
それでも家康たちは氏政の助命をあきらめない。最後の説得に家康は景勝や昌幸を連れてやってくる。家康よ、そこまで氏政のこと好きだったのか!という多少の驚きあり。
内野さんの家康と政伸さんの氏康のツーショットを見てどこかで見たような…既視感を覚えていたのですが、最近こちらで再放送された「臨場」見て思い出しました。
倉石と立原だ!!
この二人はたぶん、家康と氏政が転生した姿だ、きっと。
氏政の「生」への説得は三者三様。
家康は本当の戦仲間として、親身になって氏政を説得しようとしました。それに対して氏政は、家康に迷惑がかかるからとその申し出を拒絶しました…。
景勝はその“放っておけない”精神からか、
「わしも、髻を斬る!!我ら一同その覚悟で殿下に申しあげる所存」
と言い出したので私はちょっとびっくりしたよ。これ、近くでセコム兼続が聞いてたら卒倒しそうになったんじゃないかと。こういうふうに口走っちゃうのがこの大河の景勝さんなんだよね~。SNSで天使と呼ばれる所以w。でも、氏政から「秀吉のために生きるのか?それでいいのか?」と問われると二の句が告げられない。景勝だって本心では秀吉の支配下に置かれているのを良しとしていない、そのことをきっと誰よりもわかってたのが氏政だったんじゃないかと思います。
景勝様の申し出聞いた時の昌幸の表情が「何言ってんだこいつ?」的で笑えたw。
昌幸は開口一番、「死にたければしになされ」と言い出し家康は仰天。でもそのあとすぐに、だれもこのまま秀吉の天下が続くと思っていないとズバリ言ってのける。家康も景勝もあまりにストレートな昌幸の言葉に言葉を失いますが、本心はみんなそう思っている。
「もう一暴れ、したいとは思いませんか?」
このセリフは昌幸が示した優しさでもあるんじゃないかと、ちょっとジーンときました。なんだかんだあったけど、好敵手だったことは認めているんですよね。
しかしながら、最後の最後まで氏政の「生」に対する気持ちを起こすことはできなかった3人。切腹の意志が固い氏政の表情をうっすら涙を浮かべながら「…ここまでで…でござるか?」と力なく言葉をかける家康がものすごく切なかった。
ああいう表情はほんと内野さんグッとくる芝居するよな~。
そして最後の、景勝様の「北条殿、よき戦相手でござった」ってウルウルしながらのセリフも虚しさがこもっててめちゃめちゃ泣けました。
控えの間で説得にかかる主を待つ3人。源次郎、兼続、正信。たぶん説得は無理だろうと重い空気に包まれている中、それとは違うことを考えていた男が一人いたww。
「それがしはともかく、我が主がまた勝手な約束をなさらぬかそれだけが気がかり」
読んでるよ、セコム兼続、読んでるよ!!めっちゃ勘が冴えてるよwww。勝手な約束しようとしてたよ、あなたの御屋形様は。皆が氏政を心配する中、ただ一人、上杉の殿のことを第一に考えていたセコムさん、ブレないな~~。これ、『天地人』の兼続だったらあり得ない言動だよ。
説得に失敗し力なく帰っていく徳川と真田、最後に残ったのは上杉。ここで無言の会話がw。
勝手な約束、したんじゃないでしょうね!?
「何も約束しておらん!!」
ふぅ~~・・・(あんまり信用できないけど)
あの、重いシーンの中で、こういうちょっとライトな場面を挟んでくる三谷脚本。やり取りはすごく面白かったんだけど…その場面でやってほしくなかったかも~というのは正直ありました。上杉主従大好きだから素直に萌えたいんだけど、今そこで見たくなかったというか…あそこはしっかりシンミリさせてほしかったかなぁなんて。たまにそういう場面あるけど、あれって三谷さんの照れなんですかねぇ。
数少ない上杉主従のシーンだったのに素直に喜べないのがなんとも複雑。
最後、江雪斎が無念の表情で立ち去る画がとても切なくて舞台的だったのが印象に残ったけど、がっつり泣けなかったんだよなぁ…。
そして、汁かけ飯を食した後、氏政は切腹し・・・北条は滅びてしまいました。出家して高野山に送られた氏直も一度は豊臣家臣になったものの父の死から約一年後に若くして亡くなったそうです。
一方、源次郎は北条の蔵の中で見つけた鉛に利休の印があったことを吉継に相談。利休はひっそりと北条とも商売のパイプを持ち儲けようとしていたらしい。この時は上手く逃げられたようですが、利休にはこのあとさらに暗い将来が待ち受けています…。
忍城では三成が自分の思い通りにいかないことに業を煮やしイライラがピークに達していました。さぞかし神経性腸炎が悪化していたことでしょう。このお城が主役となった映画が「のぼうの城」ですね。しかし真田丸はあくまで真田の物語なので、昌幸の卑怯な策が上手くいって無事に落ちたということで片が付きました。
卑怯な策は好きではないと言う三成でしたが、時にはそれも必要であることも学んだ様子。昌幸に色々教えてほしいと頼むシーンがとても印象的でした。
北条攻めが終わり、宇都宮仕置きによって伊達政宗が全所領を差し出す形で豊臣に屈しました。そこに目を付けたのが昌幸。きっと伊達も豊臣に心から従っていないはずと読み、政宗を担ぎ上げて大阪城を攻め落とすという大胆なことを画策。源三郎はその言葉が本気であることを感じたようですが、彼が心配しているのはそうすることでまた乱世に逆戻りしてしまうことだった。あぁ、源三郎兄ちゃん、良い君主になりそうだなって思ったな~。あの父ちゃんだからこそそういう考えになるのかも。
ところが、歓迎の席でやたら秀吉をヨイショしまくりながらズンダ餅を作る政宗の姿を見て昌幸パパ完全に幻滅。家康も「もっと気骨のある奴だと思っておったが」と言われるくらい情けないものに写っていました。こうしてあっさりと昌幸の野望は空振りに終わったわけですが、政宗との餅つきですっかり機嫌よくした秀吉は真田の所領安堵を約束した上に徳川の与力も抜けていいと言ってきた。これを、家康の隣で昌幸に告げるところが秀吉の憎たらしいところww。かたや家康は自分の所領を取られた上に当時はまだ田舎だった江戸に追いやられるわけですから良い気分になるわけがない。勝ち誇る昌幸パパの表情がまた小憎らしいwww
宴が終わった後、政宗は源次郎と二人で話をします。このとき右側に座ろうとした源次郎に
「あ、こっちにしてくれる?これ・・・」
と、自分の目のことをサラっとアピールする政宗、なんか可愛い。
秀吉に気に入られていることを喜ぶ正宗ですが、そんな時にふと「わしの人生綱渡りじゃ…」と呟きます。この言葉の中に政宗の忸怩たる思いが込められているような気がしました。北条が待っていたと源次郎に告げられると「知らん!」と突っぱねる一方で「生き残るためじゃ…」と本音を漏らす。氏政と同じく、大軍勢で戦に勝利する夢を持っていると語る政宗はどこか寂しげ。
もう20年早く生まれていれば…もう少し京の近くに生まれていれば…大広間の首座に座っているのは秀吉ではなく、儂であった!!
本音を源次郎の前で吐露した後、政宗は立ち去ります。長谷川君の政宗、前回はセリフが一言もなかったのですが、今回改めて見て、めちゃくちゃ魅力的だなぁと思いました。たぶんこれまで見てきた長谷川君が演じたキャラの中で一番好きかも。大坂の陣までにもまた登場してほしいなぁ~。
来週は様々な「別離」がありそうです…。
泣けるシーンはしっかり泣かせてほしいんだけど、三谷さんはそういうの好まないかもなぁ