小松菜奈さんと大泉洋くん主演の映画『恋は雨上がりのように』を見に行ってきました。

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原作もあって、アニメも放送されていたのは知って興味はあったのですが・・・アニメは私の住んでいる地域では放送されていないし(配信動画も見てません  苦笑)、原作も購入していないため・・・今回が初めての鑑賞になります。

最初は「この映画行かなきゃ!」みたいな気概はなかったんですけど、洋ちゃんの芝居は何となく見てみたいという想いがあって…レディースデーを利用して見てきました。個人的に、役者してる洋ちゃんが一番好きなのでね

以下、かなりネタバレにも触れてますのでご注意を。






予告動画を見た時には、17歳の女子高生が45歳のしがないファミレス店長に恋をして猛烈アタックしていく物語・・・という部分が強調されているように思えたのですが、実際に映画を見た印象はちょっと違っていました。

たしかに、女子高生のあきらはちょっと情けないファミレス店長の近藤に恋をしてアタックしまくってるんだけど・・・、その合間合間に二人が少しずつ心の成長を遂げていく様子もちゃんと描かれていたんですよね。

あきらは陸上部のエースだったものの、アキレス腱を切る大怪我をしてしまい走れなくなってしまったことに絶望感を抱えていた。ある雨の日になんとなく入店したファミリーレストラン「ガーデン」で、落ち込んだ様子のあきらを見た店長の近藤は、一杯のコーヒー「サービスです」とそっと差し出してくれる。
そこで、近藤がちょっとしたミニマジックを披露してくれて心を和ませてくれる場面があるんですが…この時の洋ちゃんの芝居にめっちゃ心を掴まれてしまったんですよね~もう、あの穏やかな優しさに触れたら・・・

惚れてまうやろww!!!

と、マジで思いました(笑)。傷ついて落ち込んだ時にあんなさりげない優しさで接してもらったら、心がそちら側に持って行かれますわ。たとえそれが父親くらい年の離れた人だったとしても、その人のことが頭から離れなくなるっていうの・・・分かってしまったんだよなぁ。理屈じゃないよねって。
ここの場面はオッサンが女子高生に何色気出してるんだ!?って思わせたら絶対ダメな難しいシーンだったと思うのですが、そこをサラリと説得力を持って演じた洋ちゃんはやっぱりすごいなぁと思いました。

その日から、店長の近藤に会いたい一心だけでそのファミレスのバイトに通うあきら。例え家が遠くても、会えるだけでいいと。それは陸上を忘れたいという想いも潜在的にはあったかもしれないけど、それ以上に本気でLOVEの気持ちからファミレスのバイトに行きつづけるんですよね。なんか、若くて無鉄砲だけど、そんなに純粋に人に愛情を注げるパワーが羨ましくもあったかなぁ。
陸上部の子たちが「先輩のバイト先に行きたい」と言ってきた時に強い口調で「来ないで!」とあきらが拒絶した場面は特に印象的でした。

そしてある時あきらは思い切って「店長が好き」だと告白。あまりにも予想外な展開にビビりまくってどう付き合っていいのか分からなくなってしまう近藤は、言われるがままデートの誘いを受けたりして優柔不断っぷりを発揮(笑)。このあたりの情けなさは洋ちゃんならではの味が出てたな。

バイトの先輩の加瀬があきらの想いを知ってしまって「知られたくなければデートして」っていうのに渋々付き合う場面は面白かった。デートに来た時のあきらの格好は部屋着みたいなスタイルwww。映画を見る時も無関心そう。すべてが事務的とはっきりしてる。
それに対して近藤とデートになった日は思い切りオシャレして、映画も(同じく「寄生獣」ww)楽しそうに見て、食事もテンションが高い。こうまで差別化して徹底してたあきらに笑ってしまった。しかも、普通はその逆だろうっていうのがまたね。だって、どう見たって父親くらいの年齢の人よりも少し離れたイケメン風の人の方が楽しいっていうパターンがほとんどじゃないですか。
そうならないくらい、あきらは近藤のことに夢中になってたんですよね。

近藤があきらと「デート」という形で接する中で、決して色心を出さずに…それでも優しく接していくところがまたよかった。特に図書館で「どんな本がいいですか?」と尋ねるあきらに「君を呼んでる本がきっとどこかにあるよ」とやんわりヒントを与えてあげる場面が印象的でしたね。
一緒に探すよっていうんじゃなくて、あきら自身に選択させるっていう。それも彼なりの優しさだなぁって思えてホッコリしました。この時点でも、あきらは近藤に恋心を抱いているけれど、近藤はあきらに恋愛感情みたいなものは感じられないんですよね。その微妙な二人の関係性が実に素敵に見えたんです。

だけど、そんな近藤にも忸怩たる想いはあって。
小説家を目指したものの、自分の才能のなさを痛感して夢を諦めてしまった近藤。親友の九条はどんどん先を行って今や売れっ子作家。中途半端な自分を彼はずっと責め続けていて、色々なことも真っ直ぐに向き合えないでいました。そんな近藤のモヤモヤした気持ち、すごく分かるなぁと…。何だか私自身も中途半端に生きてるので、重ねて見てしまうことが多かった。それだけに近藤の気持ちの痛みが伝わってきたんですよね
きっと、そんな彼だったからこそ、あきらの真っ直ぐすぎる想いは戸惑い以上に希望にもなったのかなぁって思いました。

「僕は、橘さんといると、かけがえのない財産ってやつを、思い出すことができるよ」

っていう近藤の台詞がすごく印象深かった。

そしてある雨の日、二人はそれぞれの想いを真剣にぶつけ合って区切りへと向かっていくわけで。ここでも近藤はあくまでも、あきらへの恋愛感情みたいなものは見せてないんですよね。彼女のことを真剣に考えているからこそのブレーキかもしれないけど、恋愛という感情までは行かなかったというのも本当なんじゃないかなと。
原作では近藤から抱きしめてたという場面も、映画では違うように描かれていたようですし。


この映画作品は、二人の恋愛模様がメインじゃなくて、どこか足りない2人が接していく中でお互いに本当に大切なものに気付いていくまでの成長過程を優しく描きたかったんじゃないかなとすごく思いました。
だから、結末を見ても物足りないって全然思わなかったし、むしろあの時の二人のやりとりがとても温かくて未来を感じられて、泣きそうになったくらいです

大きく年の離れた二人の恋愛って視点ではなく、挫折から再生への優しい物語って視点でこの映画を見た方がしっくりくるし、楽しめるんじゃないかなと思いました。

そうそう、朝ドラ「ひよっこ」に出てた磯村勇斗くん松本穂香さんが出演してましたね。二人ともあの時と全然雰囲気違うんだけど、磯村くんは今回も料理人か!と思わずツッコミしてしまった(笑)。松本さんは言われなければあの「青天目ちゃん」だって気づかないよなぁ~。
そういえば朝ドラ「半分、青い」に出演中の清野菜名さんもあきらの親友役としていい味出してましたね。

あともう一つの見どころといえば、洋ちゃんと重ちゃん(戸次重幸くん)TEAM-NACS共演でしょう!!二人の場面はなんか現実と映画の世界とがリンクしているかのようなリアル感があって見ていてすごく面白かったです。



鑑賞した日はちょうど雨が降っていた事もあって、なんか終わった後も爽やかな気持ちで映画館を出ることができました。思いがけず良い映画作品に出会えたと思います。おすすめの一本です。



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