あまりにも衝撃的過ぎた第33回。あまりのシビアな展開に賛否両論が湧き起ったそうですが、逃げずに真正面から制作した結果として成功だったのではないかなと思います。視聴率は上がらないようですが、森下さんの脚本は色々と深いし避けたい場面も正面から突いてくる。なんだか『平清盛』の時の藤本さんを思い出しますね。
今回のサブタイトルの元ネタは黒沢明監督の映画として有名な『隠し砦の三悪人』。
後年になってリメイクもされているようですが、一番有名なのはこちらのオリジナルだと思います。

政次の犠牲によりこれ以上井伊にお咎めなしと決まったのはよかったのですが、気がかりなのは直虎本人です。
自らの手で政次を手にかけてしまった彼女はそのあまりの出来事がトラウマとなり、無意識に自分の記憶から政次が消えた部分を消し去ってしまった様子。静かに淡々と碁を打ち続ける直虎に不安な気持ちを抱く南渓和尚…。
この場面の何が胸が痛むかって…直虎の被っている尼の帽子(もうす)に、政次の「血」が残っていることです
。政次の想いが宿っているものを見につけているにも拘らず、直虎の記憶からはそこの部分だけ消えてしまっているというのが…あまりにも辛すぎる
。
一方、川名の隠し里で暮らす井伊の一族には事の顛末を伝えに直之と㚖天が訪れていました。あまりにも辛く悲しい政次の最期を知ってしまった面々は言葉がない…。特に夏さんの心中を想うと…もう、あまりにも辛すぎて
。それなのに、なつは呆然としながらも
「殿のお手にかかったのなら、義兄上も本望でございましたでしょう…」
と告げる。哀しい…哀しすぎるよ、なつさん
。政次と直虎の繋がりを誰よりも敏感に感じ取っていた彼女の言葉だけに、その意味を想うと切なすぎて涙が出てきます…。政次を父とも慕っていた亥之助はあまりのショックにその場を飛び出してしまいます。トラウマが残らなければいいんだけど…。
祐椿尼は娘のことが心配でならないため、一度川名で休んではどうかと提案します。その話を聞いた南渓もその方がいいと悟り直虎に勧めるのですが…
「いえ、今宵あたり、但馬が来るやもしれませぬ」
とはっきりと答える直虎。その言葉に、彼女が本当にまだ政次が存命していると信じて疑っていないことを感じ取った南渓と㚖天は初めて事の重大さに気くのでした。そうなってしまうのも、無理ないよね…。普通の精神じゃ耐えられないし受け止められない出来事だったから…。
その頃家康は順調に進軍を続け、氏真がこもる掛川城に迫っていました。士気が上がる家康たちの前に常慶が気賀の城主・方久を連れてやってくる。方久が持ってきたのは「種子島」一式。戦でイケイケな状態の徳川を見て、これは商売になるなと銭の犬の勘が働いたんですなw。
ドヤ顔で種子島を見せつける方久。家康も「これはありがたい」とかなり乗り気になっている様子。この時はまだ、そのあとに起こる恐ろしい悲劇を思いもしなかったよね、双方とも
。この時点で方久、つまり気賀は今川を見限って徳川に通じたことになるわけです。
龍潭寺には龍雲丸が直虎を心配してやってくる。一心不乱に独りで碁を打ち続ける直虎の様子を不審に思った龍雲丸は南渓から事の次第を聞きます。彼女の中ではまだ徳川が攻め入ってきていないこと、そして近藤が井伊を乗っ取るために悪巧みをしているので政次と共に策を練ろうと待ち構えていることを・・・。「本当のことは言わないのか?」と言う龍雲丸の問いかけに「言葉の端々に滲ませてはいるのだけれどそれを受け入れてもらえない」とお手上げの様子。心が政次がいなくなったことを受け止めるのを拒絶してるんだろうね。
龍雲丸から「らしくない」と言われてしまいますが、直虎を城主にした立役者でもあるため責任の重さを感じて南渓和尚はかなり悩んでいるようです。自分が追い詰めてしまったのではと悩み深くなる南渓でしたが、それに対して龍雲丸は
「本人は案外幸せなんじゃないですかね。哀れだっていうのは、こっちの勝手な見方でさぁ」
と答える。このセリフは何だか色々とハッとさせられるものが多かったです。こちらの主観で思っているものとは違うこともあるんだって気づかされたというか…。龍雲丸の台詞はとても深い。南渓和尚もハッとさせられたようでしたしね。
そのまま立ち去ろうとする龍雲丸に南渓はさりげなく「気賀の動きを確かめておいた方がいい」と忠告します。戦が迫りくる中、気賀もただでは済まないのではないかという危惧があったからこそですよね。自分たちのように巻き込まれないでほしいという親心のようにも感じました。
南渓の言葉が気になった龍雲丸は中村屋に状況を確認しに行きます。そこで彼は方久が徳川と内通を始めていることを知らされます。しかし、簡単に徳川を信用していいものか疑問が残る。現に井伊は徳川に見限られていますから…龍雲丸の懸念も当然のことですよね。
しかし、中村屋は「井伊と気賀では事情が違う」と考えているようで徳川との繋がりを持つことに決めた様子。周囲は今川についている者が多い中で気賀だけが徳川の味方につくことで悪いようにはならないと考えているようでした。まぁ、確かにその理論はありかなと思うんですが…徳川に不信感を持つ龍雲丸は簡単には納得できない複雑な心境を抱えたようです。
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自らの手で政次を手にかけてしまった彼女はそのあまりの出来事がトラウマとなり、無意識に自分の記憶から政次が消えた部分を消し去ってしまった様子。静かに淡々と碁を打ち続ける直虎に不安な気持ちを抱く南渓和尚…。
この場面の何が胸が痛むかって…直虎の被っている尼の帽子(もうす)に、政次の「血」が残っていることです


一方、川名の隠し里で暮らす井伊の一族には事の顛末を伝えに直之と㚖天が訪れていました。あまりにも辛く悲しい政次の最期を知ってしまった面々は言葉がない…。特に夏さんの心中を想うと…もう、あまりにも辛すぎて

「殿のお手にかかったのなら、義兄上も本望でございましたでしょう…」
と告げる。哀しい…哀しすぎるよ、なつさん


祐椿尼は娘のことが心配でならないため、一度川名で休んではどうかと提案します。その話を聞いた南渓もその方がいいと悟り直虎に勧めるのですが…
「いえ、今宵あたり、但馬が来るやもしれませぬ」
とはっきりと答える直虎。その言葉に、彼女が本当にまだ政次が存命していると信じて疑っていないことを感じ取った南渓と㚖天は初めて事の重大さに気くのでした。そうなってしまうのも、無理ないよね…。普通の精神じゃ耐えられないし受け止められない出来事だったから…。
その頃家康は順調に進軍を続け、氏真がこもる掛川城に迫っていました。士気が上がる家康たちの前に常慶が気賀の城主・方久を連れてやってくる。方久が持ってきたのは「種子島」一式。戦でイケイケな状態の徳川を見て、これは商売になるなと銭の犬の勘が働いたんですなw。
ドヤ顔で種子島を見せつける方久。家康も「これはありがたい」とかなり乗り気になっている様子。この時はまだ、そのあとに起こる恐ろしい悲劇を思いもしなかったよね、双方とも

龍潭寺には龍雲丸が直虎を心配してやってくる。一心不乱に独りで碁を打ち続ける直虎の様子を不審に思った龍雲丸は南渓から事の次第を聞きます。彼女の中ではまだ徳川が攻め入ってきていないこと、そして近藤が井伊を乗っ取るために悪巧みをしているので政次と共に策を練ろうと待ち構えていることを・・・。「本当のことは言わないのか?」と言う龍雲丸の問いかけに「言葉の端々に滲ませてはいるのだけれどそれを受け入れてもらえない」とお手上げの様子。心が政次がいなくなったことを受け止めるのを拒絶してるんだろうね。
龍雲丸から「らしくない」と言われてしまいますが、直虎を城主にした立役者でもあるため責任の重さを感じて南渓和尚はかなり悩んでいるようです。自分が追い詰めてしまったのではと悩み深くなる南渓でしたが、それに対して龍雲丸は
「本人は案外幸せなんじゃないですかね。哀れだっていうのは、こっちの勝手な見方でさぁ」
と答える。このセリフは何だか色々とハッとさせられるものが多かったです。こちらの主観で思っているものとは違うこともあるんだって気づかされたというか…。龍雲丸の台詞はとても深い。南渓和尚もハッとさせられたようでしたしね。
そのまま立ち去ろうとする龍雲丸に南渓はさりげなく「気賀の動きを確かめておいた方がいい」と忠告します。戦が迫りくる中、気賀もただでは済まないのではないかという危惧があったからこそですよね。自分たちのように巻き込まれないでほしいという親心のようにも感じました。
南渓の言葉が気になった龍雲丸は中村屋に状況を確認しに行きます。そこで彼は方久が徳川と内通を始めていることを知らされます。しかし、簡単に徳川を信用していいものか疑問が残る。現に井伊は徳川に見限られていますから…龍雲丸の懸念も当然のことですよね。
しかし、中村屋は「井伊と気賀では事情が違う」と考えているようで徳川との繋がりを持つことに決めた様子。周囲は今川についている者が多い中で気賀だけが徳川の味方につくことで悪いようにはならないと考えているようでした。まぁ、確かにその理論はありかなと思うんですが…徳川に不信感を持つ龍雲丸は簡単には納得できない複雑な心境を抱えたようです。
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