映画『3月のライオン』を観に行ってきました。私は羽海野チカさんの原作漫画も読んでいませんし、アニメも録画したまままだ一度も見ていないのですが、映画化が決まったと聞いた時からなぜかとても興味をそそられて行きたいと思っていたんですよね。公開から少し遅れての観賞となりましたが、後編の上映が始まる前に見れてよかったです

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この作品は将棋の天才少年を軸に描いているのですが、ウェイトとしては「将棋」よりも「人間」に焦点を当てている印象がとても強かったです。私は全く将棋については疎くてさっぱりわからないんですけど、ものすごい入り込んで見てしまいました。なので、「将棋分からない」で敬遠している人も安心して見に行ってほしいなって思います。
監督はNHKの大河ドラマ『龍馬伝』などを手掛けた大友啓史さん。大友さんが映画監督になってからの作品は「るろうに剣心」を見たくらいだったかな。重厚感とスピード感ある映像やストーリー運びがなかなか刺激的で面白かった。その後もけっこう攻めた作品が多いなという印象があったのですが(私は観に行ってないけど)、この『3月の~』はじっくりと人間の内面に焦点を当てて描いていてこれまでのイメージとはちょっと違うなという感覚がありました。

主人公は「るろ剣」で瀬田宗次郎を好演した神木隆之介くん。子役時代からずっと見てきましたが、彼は本当にいい役者に成長しましたよね。 家族を失い孤独で外見も暗いイメージの桐山零というキャラクターをイケメンに成長した神木くんが演じるっていうところがまずチャレンジだったと思うのですが、見事にハマっていたのが本当にすごいと思いました。イケメンオーラを見事に消して零という繊細な青年の内面を演じていて、モサいんだけどなんだか惹き付けるオーラを感じさせる雰囲気に目が離せませんでした。 

あと、これまで「いい子」的な女の子を演じることが多かった有村架純さん悪女的な役を演じていたのがすごく意外でビックリしました。予告を見たときから「あれ?」ってインパクトがあったんですけど、映画で見たらゾクっとするような冷たさと色気があって・・・こんな芝居できるんだとなんか印象が変わった。素朴な芝居を見ることが多くて、正直今まではあまり巧い女優だと思ったことはないんだけど、香子という激しい感情を顕にするような女性を演じている彼女を見て初めて「いい!」って思いました。 
それと、この映画の核となる島田を演じた佐々木蔵之助さんがまた最高でした!!蔵さんのファンはこの映画を見に行った方がいいと思いますよ。穏やかさと厳しさと懐の深さと・・・とにかく魅力満載です 。

他にも、ビックリする容姿で登場の二階堂役の染谷くんや、ギラギラした牙を持ちつつもふと影を感じる後藤役の伊藤さん、チャラいようで温かみのある林田先生を演じる高橋一生くんなど・・・粒ぞろいの役者さんによる名演が素晴らしい!どの登場人物のドラマもガッツリ向き合って見れるすごい映画だと思います。
上映時間は約2時間20分と少し長めですが、見応えのある人間ドラマで全く飽きがきませんでした。

以下、少し内容に触れたネタバレな部分の感想を少し。

 



神木君が演じる零は両親と妹を交通事故で失ってしまいますが、葬儀場で出会ったプロ棋士の幸田と運命的に出会ってその家で成長していくことになります。一見温かそうな家庭ではあったけれども、幸田名人は零にはドライに接し棋士としての才覚を常に見極めようとしている雰囲気。そして何よりも零を苦しめたのが幸田の二人の子供。特に長女の香子は零を蔑み時に激しく八つ当たりしてくる。あの家庭環境でよく中学まで耐えたなって思うくらい、そこは彼にとって過酷な居場所でした。
幸田プロには育っててもらった恩義もあるけれど、彼の中では感謝というよりも「将棋士として強くなければ捨てられる」という想いの方が強い日々だったというのがなんとも切ないです

さまざまな相手と対戦して勝利を重ねていく零が、安井に勝利した後激しくなじられるシーンは印象的でした。黙ってその言葉を受けて耐え忍ぶのかと思ったら、その後思い切り自分の気持ちを吐き出す零。「どうすればよかったんだ」「強くならなきゃ生きていけなかった」閉じ込めていた彼の切実な本音が見ていて心に刺さり辛かった
ここの、零の多面的な一面が見られるシーンでストーリーの幅も広がったように思いました。

零は幸田の家を出てからは独りで部屋を借りて孤独に暮らしていましたが、かといって本当に孤独かというとそうではない。棋士仲間の先輩(中村倫也くんがいいアクセント役で登場していたのが嬉しかった!)や、幼いころからのライバル仲間、近所の美人三姉妹など、ちゃんと気にかけてくれる人がいる。
最初はそんな周囲の人の存在が自分の中に入り込んでいなかったのですが、少しずつ優しさに触れていくうちに「一人じゃないのかも」的な明るい表情になっていく過程が丁寧に描かれているのがとてもよかったと思います。一生くんが演じてる林田先生と零とのやりとりもこの映画の中ではちょっとしたオアシスのような雰囲気で印象的でした。

あと、零と幸田家の長女・香子との微妙な関係も見所だったと思います。香子は零のせいで将棋士になる夢を絶たれたという恨みから彼に冷たく激しく当たるのですが、なぜか家を飛び出した後は零を頼ってくる。妻がいる後藤との関係も彼女の気持ちを不安定にさせている要因かもしれません。
香子と手を切るように詰め寄る零を後藤が殴るシーンも印象的。香子は後藤についていく道を選び激しく零を詰りますが、零との関係を切るわけでもない。このあたりのドラマが後半どう動いていくのかも気になります。

後藤はこの映画の中では悪役のように描かれていますが、実は彼にはある悲しい秘密がある。そのあたりのギャップが非常に魅力的で・・・私けっこう、伊藤さんが演じる後藤は好きキャラだったりします。後編でどう動いてくるのか気になるところ。
その後藤とバチバチの対局をした島田とのシーンは面白かったな~!蔵さんと伊藤さんの目力対決は見ていてドキドキしましたw。

他にも川本三姉妹と零の今後の関係や、宗谷との対局はあるのかとか、島田はどのような道しるべとなるのかとか、二階堂の病がどうなるかとか、零との友情とか、幸田との親子関係とか・・・なんだか気になる要素がてんこ盛り。

この映画を見て、溜めていたアニメ版を早く見なければと思っちゃいましたw。あと、将棋のこともちょっと勉強したいかも!?将棋を知っていればさらに楽しめる映画だとは思ったので。でもたぶん私には無理かな~

後編も絶対観に行きます!!